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みなぎる全力感!ももクロ2011年ライブDVDレビュー

投稿日:2015年8月14日 更新日:

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今回はももクロネタ。

一部のアイドルファンにしか知られていなかった無印時代から、人気、実力ともに急成長を遂げ全国区でのブレイクを目前に控えた二度目のももクリまでの、ももクロの歴史において最もスピード感のあった2011年の一年間を、ライブDVD(BD)のレビューを通して振り返りたいという企画。

 

 

 

ももいろクリスマスin日本青年館~脱皮:DAPPI

2010.12.24

毎年恒例となった「ももクリ」の記念すべき第一回公演であり、単独初のホールコンサートとしてアイドルの登竜門とされる日本青年館でのステージ。円盤化されているライブ映像としては最古のものとなる。佐々木敦規が演出として入るのはここから。

この時平均年齢15.3歳。1300人というこれまでにない大勢の客を前に開演前から涙を隠せない6人。玉井の「ママに電話しとけばよかった…」は名言。

まだあどけなさの残る顔立ちに技術的には拙い歌と踊り。しかしそれを補って余るだけの全力のパフォーマンスがステージ上で爆発している。

初っ端から全開のテンション。特に高城の首が吹っ飛びそうな過剰な動きは必見。玉井の泣きじゃくる姿も今ではなかなか観ることが出来ないもの。見た目も別人だし。あと、あーりん可愛い。

ももクロは下積み時代の苦労話が色々と有名なのだが、結成後の初お披露目からここまで2年半しか経っていないということに驚く。十代の頃の2年半は確かに長いかもしれないが、同時期にデビューしたグループと比べると、やはりその成長速度は群を抜いてるものだと感じる。

特典映像にて観られる終演後の様子で、疲労による虚脱から楽屋前の通路に座り込む百田と早見の2ショットがあるが、百田は笑みを隠せない様子なのに対し、早見はどこか虚ろな表情を見せる。この日から約3週間後、早見はメンバーに対し脱退を告げる。
 

4.10中野サンプラザ大会ももクロ春の一大事〜眩しさの中に君がいた〜

2011.4.10

日本青年館から4ヵ月後。この間にミライボウルのツアーや、後々まで語り草となる神聖かまってちゃんとの対バンがあった。

早見あかりの引退公演であり、無印時代最後のコンサートとなる。二部構成であり、動員数は前回の3倍超となる計4,400人(2,200×2)。

東日本大震災から一月後であり、随所にその影響が見て取れる。結果的にこの「震災からの復興」というテーマは、ももクロが躍進する一つの要素として機能したことは事実だろう。

初のホールコンサートに感涙していた青年館の時とは既に観ているものが異なり、引退公演を成功させようという一つの想いが原動力になっているように思える。

第一部「ももクロ☆オールスターズ」は幕間に妹分の「私立恵比寿中学」が登場したり、ももクロメンバー全員がソロ曲(前回は二人のみ)とユニット曲の披露等があるが、構成はスタンダードなものである。百田と早見のユニット「デコまゆ」において脱退について触れる場面があるがそれのみであり、湿っぽさは極力排除されている模様。

そして第二部「早見あかりFINAL」が引退公演としてはメインとなる。この二部が問題。こんなん観て泣かないやつおらんやろ!って気分にさせられる。

オレンジノートの後、百田夏菜子による涙のメッセージから始まる引退セレモニー。メンバーそれぞれによる思い出話を交えた温かいメッセージと、早見あかりからメンバー全員に対しての優しさからの強い励ましの言葉は涙なしには観られない。個人的には早見が高城に対して言葉をかけるシーンが本当に切ない。高城の方が二歳近く年上とはまるで思えないやりとりに涙する。早見が他の子らより精神年齢が高い様子が見て取れる。百田はこれ以降、公の場で泣くことが極端に減る。

気丈に振る舞うも、サプライズであった「あかりんへ贈る歌」からの6人最後の「怪盗少女」にて早見は歌えなくなるほど号泣。アンコール二曲の後、マイクなしでの最後の挨拶。絶叫にも似た涙の「ありがとうございました」にて有終の美を飾った。

そしてこの感動のフィナーレをぶち壊すサプライズ改名。湿っぽい空気で終わらせないことでネガティブなイメージを持たせない意図があったんだろうか。
 

 

サマーダイブ2011極楽門からこんにちは

2011.8.20

中野サンプラザから4ヵ月後。Z改名後初の大規模ライブにして初の屋外公演。過去最高の動員数(約6,000人)を記録。

この間に「七番勝負」「Zツアー」等があり、伝説の二時間三回廻しやアカペラオレンジノートなどの逸話が残っている。早見あかりの抜けた穴を埋めるため、メンバーが短期間で急成長した濃密な4ヶ月だった模様。早見が担当していたMCを佐々木彩夏が担うことになる。

本公演の前に玉井詩織が髪をバッサリ切った。本人曰く「気分」とのことだが、何かしらの決意を感じた人は少なくないと思う。実際、この頃から泣き虫でも甘えん坊でもなく、サポートに回るスーパーサブ的な立ち位置につくことが多くなっていった。

開始から20分に渡り、ヒーローショー的な茶番が展開される。本編を盛り上げるためのフラストレーション造りだと佐々木敦規は言うが、個人的には不要。「プロレス」と言えば何でも許される雰囲気を作った罪は大きいと思う(もちろん川上アキラも同罪)。

公演の二週間前に発売された1stアルバム「バトルアンドロマンス」の曲が全てセットリストに組まれている。

真夏の野外での解放感も手伝ってか、これまでのホールコンサートとは明らかに異なる独特のハイテンションな雰囲気が、一曲目の「Z伝説」から溢れ出ており、無印時代とは全く違った存在感を発している。4ヶ月前とは別人のように見える。「男子三日会わざれば刮目して見よ」である。女子だけど。

ノリは以前にも増してはっちゃけた印象を受けるが、表情からはプロフェッショナルとしての覚悟を感じ取ることが出来、部活動の延長のような空気は既に無かった。

現在に繋がる「ももクロ」っぽさの源流がここにあると思う。

映像的には手ブレ感のあるアップ多用なカメラワークが臨場感を増し、ドキュメンタリーの様な雰囲気を醸し出している。この感じがたまらない。引きの絵ばっかだとつまんないんだよね。やたらと客を映すことが多いのはまあ愛嬌かと。

夕方から始まり、段々と深めていく夜の暗さがいい塩梅で場を盛り上げている。

ハイライトはやはり「チャイマ」「怪盗」からの「ココナツ」だろうか。個人的には「ワニシャン」の方が好きですが。悪ノリでビショ濡れはまさにバカ騒ぎって感じで単純に見ていて楽しい。この時はまだ「バカ騒ぎ」がタイトルに冠されていないけども。

アンコールの三曲を終えた後ダブルアンコールが起きる。時間の都合によりメンバーは出られないが、アンコールの声援は収まる気配がない。メンバーに対しスタッフから締めの言葉を音声のみで流してその場を収めるように指示が入る。その瞬間、メンバーが一斉に「夏菜子!」と百田の方を向きマイクを託す。この瞬間の百田への信頼感から来る一連の行動が何とも心地よい。ああ、良い関係だなと改めて思わされる。

百田はみんなの前に出られないことを詫びつつも、煽るように次のコンサート会場である「SSAで会いましょう!」と残し、最後をビシッと締めるのであった。

夏が来る度観たくなる1枚。腹筋苦手なあーりんかわいい。
 

 

ももクロ秋の二大祭り「女祭り2011」


2011.10.30

極楽門から3ヶ月。この間、ドイツでの公演や氣志團との対バン、プロレスリング上でのパフォーマンスなどアウェイでの活動が続いた。中でも氣志團との対バンで演った「キミセカ」は個人的に超カッコいいので是非見てもらいたい。といってもネット以外では見られないが。あーりんかっこいい。

女性客限定のライブというアイドルとしては異色の企画であり、800人というキャパも初めは埋まらないのではないかと危惧されたようだが、蓋を開けてみると4,000人の応募があったとのこと。

普段のライブとは一風変わった、「女の子」を強く意識した演出であり、ガールズトークのコーナーやファッションショーが見た目にも楽しい。メンバーそれぞれの普段とは一味違った魅力を引き出すことに成功している。ピンクのモコモコを着た佐々木彩夏の「だてあり」は個人的にベストの出来。

しかし、この「女祭り」が素晴らしいのはそれだけではないのだ。
誰よりもこのイベントを楽しみにしていた有安杏果は当日カゼによって体調を崩してしまう。開演時はそれほどでもなかったが、時間が経つごとに声は出なくなり、動きも生彩さを欠いていく。「怪盗」では百田が転回(前転)を三連続で行い、有安に負担のかかる馬跳びを回避していたりと、ところどころで有安のサポートに回るメンバー達。有安は持てる力を出し尽くし、後半少し回復が見られるもののアンコール開始時の声援に反応して涙ぐんでしまう。

そして迎えたラスト曲「コノウタ」では、既に限界の来ている有安のソロパートにとっさの判断で百田が被せ、それに反応して他のメンバーも歌い出す。百田ソロパート「♪このうた/きみにとどけ」では普段は百田以外がフリーズするシーンなのだが、玉井が百田を称賛するようにケチャ(仰ぐような動き)を始め、隣の佐々木は一瞬遅れてこれに追従する。横目でそれらを見た高城は「何やってんだ…?」という表情をしつつも察したらしく、同じように百田を称賛する動きをとる。これを見た百田が歌の途中で高城に「ありがとう」と告げる。

傍目には何だかわからないやりとりなのだが、彼女たちの結びつきの強さが表れているシーンだと感じる。また「コノウタ」の歌詞がこの状況に合い過ぎていることや、ラスト曲であるが故の燃え尽きるほどのエモさ(特に百田)など、非常にドラマチックである。ドキュメントタッチなカメラワークも良い。

決してベストなパフォーマンスではないが、そんなことはどうでも良くなるほど感情に訴えるものがここにはあり、これこそがももクロの持つ魅力の本質であると思う。

ももクロ秋の二大祭り「男祭り2011」

2011.11.6

女祭りの翌週に行われた今度は男性客限定のライブ。わざわざ男性客限定とするところが妙におかしい。普通アイドルのライブは男性客ばかりなのだから(最近はそうでもないが)。

オーバーチュアでの和太鼓や悩み相談のコーナー、神輿で客席を練り歩くといった「祭り」っぽい要素はありつつも、「余計な味付けは一切しない」という煽り通り、とにかくガチなライブを魅せる。セットリストは初期の曲を中心としたどことなく懐かしい「男心をくすぐる」選曲らしい。個人的にあまりピンと来ないのは筆者が完全な後追い勢だからだろう。

ダブルアンコールを含む全25曲をソロ曲無しで演ったのはこれが初めてであり、これまでで最も汗をかいたライブとのこと。観客の声が今まで以上に野太いのが微笑ましい。

一般的に、見て楽しむ祭を「カーニバル」、参加して楽しむ祭を「フェスティバル」というらしいが、この男祭りに関しては完全に後者であり、映像を通して楽しむというよりは現場での一体感による多幸感を愉しむものなのだなと感じた。神輿は特に映像的に面白いものではないしね。

女祭りに反し、有安のコンディションが見た目も含め非常に良い。有安が元気だと何だか嬉しいものです。おまけのメイキングで見られる神輿の存在を初めて知るくだりにはちょっと引いてしまったが。

ラストの「コノウタ」では前回の雪辱を晴らせた模様。
 

 

ももいろクリスマス2011さいたまスーパーアリーナ大会


2011.12.25

初のホールコンサートであった日本青年館から一年。激動の一年を締めくくるにふさわしいこれまでの集大成的なステージであり、初の単独アリーナ公演である。会場規模、ステージ演出、メンバーのパフォーマンス、そしてファンの熱気と、これまでのイベントとは何もかもが一線を画す大規模なイベントとなった。会場キャパシティは10,000人と一年前の8倍近くに膨れ上がっている。それでいてこの当時は一般層にはまだあまり知られていない(テレビに映らない)というのだから驚く。ブレイクスルー直前の天井知らずな雰囲気の佇まいがなんとも爽快である。

メンバーのコンディションも良く、衣装も可愛い。なお、これ以降佐々木彩夏は体型が維持できなくなる模様。

会場には解説席が設けられたり、入場時のアナウンスや幕間の煽りVTR等、徹底して格闘技イベント風の演出が施されている。

オープニングのメンバー紹介では不安と緊張の入り混じった複雑な心境の中、やはり涙を隠すことが出来ないでいるが、その中で(紹介の順番が後であったにせよ)佐々木彩夏の気丈に振る舞おうとしている凛とした表情や、百田夏菜子の全てを受け入れて開き直ったかのような表情は何とも男前に映るのである。

パフォーマンスに関しては、とにかくギラギラとした戦闘的な姿勢が一種の緊張感を孕んでいたし、それでいてこの場を楽しもうとする余裕も見え隠れするといった、この一年での成長ぶりをまざまざと見せつけている。個人的には特に百田の表情が目を惹く場面が多く、「Believe」での何処か悩ましさを抱えた顔つきや、「キミセカ」でのマスクを脱いだ直後の何とも形容しがたい迫力のある表情が印象的。
クリスマスイベントらしい「サンタさん」での高城のマジックショーの楽しそうな雰囲気も良い。円盤で何度も見るようなものではないとしても。

楽屋中継以降の後半はどことなくリラックスしている様子が見える。

アンコール前に「怪盗」が無いセットリストは初めてであり、サプライズを盛り上げる意図が見られる。そしてアンコールで初披露となる新曲「猛烈」は、バックに100人の合唱団を背負い、マーティ・フリードマンがギターで参加するといった豪華で大仰でインパクトのあるものである。何だかよくわからないが凄いモノを見た!という気分にさせられる。暗転した場内に輝くサイリウムの海と合唱団の荘厳な歌声が「猛烈」のスペースオペラ的な雰囲気によくマッチしており、続く「怪盗」で盛り上がりはピークを迎える。マーティがメンバーより前に立つのはどうかと思うが・・・。

ももクロ最古の曲である「あの空へ向かって」をもってしっとりと終わる構成は何か象徴的なものを感じさせ、翌年のブレイクを予感させるには十分すぎるものである。

肥大化する会場や過剰さを増す演出、大物ゲストの出演といった、今後問題視されていく要素が萌芽したステージではあるが、アイドルのコンサートという枠を超えた良質なエンターテイメント作品であることに変わりはなく、一つの到達点ではないかとさえ思える。

映像特典であるメイキングでは、石川ゆみからの涙のダメ出しや特注イヤモニの件など、ステージ裏側での苦労や仕事に対する厳しい側面が垣間見れて感慨深いものがある。こういうのがあるからここまで来られたんだなと。

全編を通して観るには体力が要求されるので、なかなか見返すことはないけれど、個人的に一番好きなタイトルです。
 
ということで一年に渡るももクロの成長記録でしたが如何だったでしょうか。

キャリアとしてはまだまだ初期の範囲内であり、このあとさらに伸びていくわけなんですが、個人的には初期衝動的な感のあるこの頃が好きです。円盤化の際に音声面で修正が加えられているらしいのですが、そんなの現場行ってない人にはどうでもいい話だと思ってます。

「男祭り」までのDVDはレンタルで置いてあるところが多いので、観てないタイトルを借りてくるのもいいかもね。

ではまた。

そして全てはここに集約される。

 

-オンガク

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