えらく時間が開いてしまいましたがようやく完結編です。
これまでの人生の中でよく聴いたなというものを100枚挙げる企画の三回目です。
90年代ベスト100とかそういうのではないです。大体そんなに音楽詳しくないので。順番付けるのも好きじゃないしね。古いのも新しいのも入ってます。
ミーハーで流行りものばっか聴いてた方なので、最大公約数的というか何というか、そういう感じです。聴いた時の年齢や環境がもろに影響している思い出補正100%です。評論家の先生じゃないので客観的なものの見方なんて出来ねえんですね。
前回→【90年代】邦楽アルバム私的名盤100枚レビュー【00年代】 中編
はい前置き終わり。じゃあラスト25枚。
一方で言葉の強さみたいなのは失われてしまったような気もする。好き嫌いは置いておいてもやたらと耳に刺さってきた刺々しい言葉の響きみたいなものは本作には感じない。良くも悪くも丸くなったんですかね。で、それが収穫だったという解釈でよろしいですかね。
この手の音楽にメッセージ性とかいらんけどな。
KEMURI、TMGE、GROOVERS、pillows、ギョガンレンズ、スカパラ等と豪華なメンツに、初期ルースターズの楽曲ががっちりハマってて、それぞれがちゃんと持ち味を出せているという。
まあファン目線なので実際どうかはわからんけども、どれも最適解に思えてしまう魅力があると思いますです。
GROOVERSの「Sitting on the fence」が好きです。銭函の堤防に座ってるイメージ。
「キィハントー」ってパワーワードすぎる。間奏まんまキィハンターだし。
初期のクレイジーケンバンドにあった昭和丸出しな、そして猥雑な雰囲気が好きならハマると思う。というか自分はそうでした。昭和40年代の劇伴っぽい雰囲気もあってザ・シロップを聴いた時の様な気分になったね。こっちの方が露骨に歌謡曲してるけどね。「北国行きで」のカバーも入ってるし。
テンション高いライブ盤も良いです。
大阪だと知名度高いのでしょうかね。
それから7,8年経ってラジオから流れた「雷雨決行」に何か感じるものがあって出戻るようにクロマニヨンズを全部聴きました。ああ、クソ。やっぱりいいじゃねえかよ。ってなったね。
いつの間にかブルーハーツやハイロウズよりもキャリアが長くなってしまったクロマニヨンズ。子供の頃の10年は永遠だけれど、大人の10年なんて働いてたら一瞬で過ぎる。でも全然変わらないのが良いというものもある。というのを本作に感じました。
はっきり言うとクロマニヨンズのアルバムはやっつけで作った様な駄曲がかなりある。半分ぐらいかもしれない。歌詞みればわかる。だけどそれを補って余りあるような曲があるので許せてしまう。甘いだろうかね。
本作だと「ハル」が好きです。
グングニル、ランプ、k、グロリアスレボリューションと良曲ぞろい。音もまだまだシンプルなバンドサウンドで気持ちが良い。
ただ、聴いたのが大学の頃だったので、詞に共感してドハマリするという感じではなかったな。中二だったら危なかったぜって思った。ブルーハーツの熱心なファンとバンプの熱心なファンて近いところがあるなと。
関係ないけど、RADWINPSの前前前世を脳内再生すると途中からグングニルになってしまうのは俺だけではないはずだ。
おっぱいが~ドッキング~とかポキールとかああいう大学生っぽいノリが好きだったりする。
ケツメイシは謎だらけだった。なんだその名前。なんだこのジャケ写。そんでヒップホップとレゲエを混ぜて歌謡曲を垂らしたようなよくわからない楽曲。
最初に耳にしたのが2000年ごろにラジオで聴いた「こっちおいで」だったので、名前以外は特に引っかかることもなくすり抜けて行ったんだけども、後年、というか気付いたらあっちこっちで流れるようになってたね。
2,3,4しか聴いてないんだけども、3が一番多く聴いたような気がする。「夏の思い出」とか好きね。こういうのを素直に聞けるようになった自分に気付いて少し大人になった気がしてた自意識過剰で被害妄想狂の僕です。
今の今まで忘れていたけどこれ大好きだったなって。
アルバムはこれ一枚しか出していないんだけど、田島貴男に曽我部恵一なんて恵まれた人材をバックに付けて彼女はただ歌うだけという。キタキマユって何者なんだ?業界的に重鎮な方の娘さんか何かなのか?と思ってたりしたな。彼女が司会をしていた音楽番組のツテであったようです。まあそんなことはいいんだ。
歌唱力で勝負しているわけではないし、楽曲製作するわけでもない。というか本業は女優だし。だけど彼女の歌声が何だか素敵に感じる。多分それが答えなんでしょうね。
何だかわからないけどいいじゃんて。
理屈じゃなくて好きなものはあるんだなと感じる一枚。
ワールドミュージックの様です。邦楽のメジャーレーベルのものとは思えん。
ジャズやらラテンやらバラバラなジャンルの楽曲集なのに不思議と統一感がある。98年当時のシーンというか市場を考えたらありえないような音ばかりで驚く。そしてこれが40万枚以上売れたって、どこの国の話なのかと。多分当時聴いても俺なんかじゃ全然ピンと来なかっただろうなあ。
これから10年経っても20年経っても古びない普遍性がある。これをポップスと括って良いのかは分からないけれど。
「恋人」「貴方の一番好きな歌」「アントニオの唄」が好きだなあ。
スピッツ、中村一義、スガシカオ、コーネリアス、サニーデイサービス、山崎まさよし…と挙げるとなんとなく共通項が見えてくるよね。
これでしか聴けないサニーデイの「都会(version#2)」とGLAYのライブ音源「LOVE SLAVE」があって、結構貴重なんじゃないかなと思う。
良質なコンピでございますよ。
サニーデイは未収録の良い曲多すぎなんだよ。「蜂と蜘蛛」とか「空飛ぶくじら(カバー)」とかさ。
実は人生で初めて買った中古CDだったりする。僕が生まれ育った札幌の東の果ては家しかないクソ田舎で生活圏内に中古CD屋なんてなかったのでね。どうでもいい。
ギリギリ中学3年の頃でヒットチャートばっか聴いてた頃です。
「level4」「high puressure」「white breath」「蒼い霹靂」と売れたシングルが4枚も入っててお得です。今の感覚だと既存曲4つも入れんなって思うんだろうけどな。
特に語ること無いんだけれど、今回これ書くに当たって聴き直したらさ、やっぱりなんかいいんだよね。俺も昨日生まれたわけじゃなくて、ちゃんと中学の頃があったんだなって実感出来た。
それだけで価値がある。
もろに企画モノ臭がするくせにちゃんと聴ける造りで小憎たらしいですね。個人的にはフレンチっぽいのがツボです。
絶対どっかで聴いたことあるのに元ネタが何だかわからないモヤモヤ感がありまくりで、これを意図的にやってるんだったら悔しいなと。いや、そんなに洋楽詳しくないけどさ。
カイリーミノーグとか世代じゃないのでよくわかんないですね。でも好き。
でもそんなことどうでもいいくらいに地味な名盤だと思ってる。
ハルの書く情けなくてみっともなくて怠惰で下世話でバカな詩の世界が、ここに来て「リアルなしんどさ」みたいなものを纏って、以前よりもぐっと心に刺さるようになったと思う。
「ふぬけた」の投げやりなぶっきらぼうな感触に顕著に表れてる。
「君は僕を好きかい」が真っ直ぐに耳に入ってくるのはピーズだからっていうのがあるんだよなあ。多分。
「便所モンキー」はひどい曲です(笑)。
このピコピコサウンドはあくまで楽器であって、楽曲自体はジャズなんじゃないかなって思うんだけどどうですかね。テクノっていうものとはかなり距離がある気がする。
ラストの「Your Quest Is Over」はヤバい。コントローラー持ったままテレビ画面を見つめていたあの気分にさせられる。ああ、終わっちゃったけれど、まだ電源落としたくないな的なやつ。
余談だけどこれヴィレッジヴァンガードで買いましたね。
一時期ヴィレヴァンは重要な情報源だったんだよ。雑誌とかテレビとか全く見なかったから。
山下達郎とか大滝詠一あたりのシティポップス感全開。
3枚目というのは往々にして色々と手を出してみたくなるものなんだろうなあと、結構色んなジャンルが散りばめられていて雑多で飽きないね。良曲ぞろいでも一本調子だとダレる性分なので。でもインストはいつも飛ばしてしまいます…。
「アルカディア」「あの世で罰を受けるほど」「千年紀末に振る雪は」が好き。
このジャケ写は誰か止めなかったのかと思うけど、インパクトあるからいいのか。
GOGO7188のGS歌謡な部分をもう少し、いや、かなり、押し進めたようなロックバンド然とした音であります。
夏っぽくていいぞ。
熱病のようにサニーデイサービスに取りつかれていた頃には全く受け入れられなかっただろうなとは思うんだけれども、ちゃんとバンドしていて、それでいてサニーデイとは異なるアプローチがある。
声が全然違うので、初めはボーカルが別の人間だと思ったんだけどね。
一発目の「天使」の「天使はおじさんだった」の部分が、ああ、曽我部だなあって思ってしまえる力技感。「キラキラ!」のイントロアルペジオからの入り方で涙が出てしまう不思議さ。やっぱり好きだなあ。
「5月になると彼女は」聴いて、あれ、陽水通ってるのかなって思った。
とにかくいいです。
「青春狂走曲」聴いてもうサニーデイは無いなって思ってたら再結成してやんの。悔しい。ビクンビクン。
本場ロンドンのモッズ系コンピレーションを聴き倒しているとニヤニヤ出来ること必須でございます。
「MAYBE TOMMOROW」はどうあってもかっこいいのだ。「CAN YOU HEAR ME」みたいなオリジナルモッズ時代(60年代)の楽曲があるのが嬉しい。
これに収録されている「MOD TRACK」はハイロウズで一番最後に発表された曲だったりする。まあお遊び曲だけどね。
そういえば昔、札幌にSTOMPというモッズ御用達みたいな店があってたまに行ってたな。缶バッチぐらいしか買わなかったけどさ。
この人の本業は何なのかよくわかんないんだけどモデルなんだね。sakusakuも見たことが無いので全然情報が無いでやんの。
その分CDから得られるものだけで感想書けるからまあ良し。
多分良い意味でも悪い意味でもこの人はアイドルなんだと思う。アイコンでもいいけど。少なくとも音楽との距離感がね。
つまりは木村カエラの魅力を引き出すに足る楽曲を作家陣が書いて、それを武器に戦うという構図。なんじゃないかな。
非常に耳触りの良いポップ・ミュージックです。「誰」のリフが好きです。
ジャケ写がエロい。好き。
譜割りも含めて歌詞が面白いかどうかがその基準。あと何だかわからないけれど生々しいエロスが含まれている感じがします。だからか知らんけど、割と男受け良かったような気がする。決してアイドルタレントみたいな整った容姿じゃないんだけれど、それが余計に、こう、あれだよ、いいんだよね。容姿なんか音楽に関係ないけどね。
ポップさの中に毒がある感じっていうベタだけどベタには勝てないっていう。
本作はメジャー2ndで、ヒットした「花火」「カブトムシ」「桜の時」を収録しております。
結構疾走感があって激しいってほどではないにしろ楽器がしっかりしたロックなんだけれど、不思議と繊細さやノスタルジーを感じさせます。正に水色っぽい印象がある。なんかネオアコじゃないフォークっぽさがあるよね。あくまで雰囲気の話。
「コトノハ」「みずいろの町」「ナツメ」「観覧車」が好きだ。
これメジャー2ndなんだけど、1stの「風景描写」と一緒に聴いたのでどっちにどれが入ってるのか正直把握していないです。まあ同じ世界観を共有しているということで。
「観覧車」のイントロ聴くとナンバガ思い出してしまうのは俺だけじゃないはずだ。
質の高いポップスというのはこういうものだと言われてる気がする。
この時代特有の退廃的な雰囲気を纏った楽曲と中谷美紀のけだるいボーカルとが相まって、なんとも言えない世紀末の美しさを放っております。
「天国よりも野蛮」「水族館の夜」が好き。
それでいて、はっぴいえんどをサンプリングしてるから、ってだけではない日本的な湿度があるようにおもうんだよね。
ヒップホップ黎明期においてLB勢ってなんか知的な感じがする。文学からの引用が作用してるのもある。
「じゃっ夏なんで」なんかに顕著に表れてるよなあって。
夏に聴きたくなる一枚。
「星を食べる」が良すぎる。ほぼこれしか聴いてないっていう。
滝本晃司はめちゃくちゃ良いのにいまいちマイナーというかね。
本作には入ってないですけど「夏です~」とか「夏の前日」とか「パルテノン銀座通り」とかめちゃくちゃ良いのに!聴いてくれ!
こういうの、ラウンジ感とでもいうのかしら。
全体を通して、漠然とした70年代の外国っぽい雰囲気がある。
洋楽って意味ではなくて、海外旅行があこがれだった時代の日本人的な憧憬みたいなものを感じる。
ナンパで楽しそうな感じが良いです。それに尽きる。
セルアウト上等です。ビーフなんてつまんないじゃん。
ナンバガ三枚目にしてラストアルバム。
録り方のせいなのかよくわからんけど、音の迫力がすんごいです。でもただ煩く轟音掻きならしているわけではないという良い塩梅のバランス。音の一つ一つははっきりしている。
空間自体が歪んでるようなギターや、残像が見えそうなドラムの音がなんとも印象的。そこに読経のようなボーカル、不条理な詩世界が合わさって、なんだかもう臨界点の様相。ギリギリ感にお腹いっぱいになります。気軽に聴く気にはならないけど。
向井のメロディには「通りゃんせ」感があると思うのです。福岡だからかしら。
もう少し早く知ってればなあって思った数少ないバンド。
田渕ひさ子ほどかっこ良くギター鳴らす女の人を俺は他に知らない。
ということで私的名盤100枚でした。
自分的にも色々足りてなかったりしますが。
どうですかね。懐かしかったりしますかね。
ちゃんと聴き直してから書こうって決めたから時間がかかりすぎてしまった。
ではまた。
90年代ディスクガイド──邦楽編 (ele-king books) 単行本(ソフトカバー) – 2021/6/4