ひさしぶりに漫画ネタを書くぞと。
10年ぐらい前に2巻まで読んで、つい最近最終巻を読んだ「僕と君の間に」でございます。
「姉ショタ」なのか「おねショタ」なのかわからない…。
「七つの大罪」「ライジングインパクト」等で知られる鈴木央が、2003年から2006年までウルトラジャンプで連載していた作品。
SFファンタジー世界を舞台に繰り広げられるおねショタ冒険バトル漫画。
初の青年誌連載ということで、これまでの作品には見られなかったエログロ要素や濃厚なSF設定が刺激的で面白い。
四方を巨大な滝に囲まれ、外界から隔絶された円筒状の居住区「ヘヴン」。
数年前に突如発生した病により、二千人いた住人はわずか数人を残して死滅。
滝の向こうに広がる外界へ想いを馳せ、残された人々は飛行機を造り出してこの「地獄」からの脱出を画策するが、全て失敗に終わってしまう。
最後に残された二人、気弱だが機械に強い少年ホークと幼馴染の勝気な少女セルマは先人と同様に飛行船を造り上げ、ヘヴン脱出を謀る。
旅立ちの前日、予行演習と称してセルマは一人飛行船の舵をとり、ヘヴンの上空を旋回する。その時ホークは予備の部品や燃料を求めて足を踏み入れたことのないヘヴンの地下へと訪れる。
そこでホークは厳重に閉ざされた扉の奥に管制室のような施設を見つける。
「ドーム・オブ・ヘヴン」「音響システム」「気候システム」「空調システム」…と記された装置群を目のあたりにしたホークは胸騒ぎを感じ、セルマの元へと駆け付ける。
その瞬間、セルマの乗った飛行船は空に衝突して爆発。
巨大な滝もその向こうに見えた遥かな世界もすべてドーム型プロジェクタに映された虚像であった。
セルマを失ったホークは悲しみに打ちひしがれるも、彼女の想いを汲み、外の世界へと旅立つ。
航行の果て、飛行船の墜落によって地上に降りたホークは、暗闇から現れた集団に襲われ拉致監禁されてしまう。
そこは厳格な奴隷制度が支配する独裁国家であった。
ホークは捕えられた檻の中で気丈な振る舞いと人間離れした身体能力を纏う女「ダリア」と出会う。
ダリアもまたホークと同じように外の世界からここへ訪れ、この国の住民に捕えられていたのだった。
ダリアは、ホークの飛行船を修理できる技術をかい、行動を共にする。
その頃牢の外では、長年虐げられてきた一人の奴隷が王に対し反逆を企てていた・・・。
とこんな感じです。ここまでで二話分ぐらいかな。
二人は奴隷国家を脱出した後、いくつかの国を放浪し、ある地点でそれぞれの過酷な戦いの運命の飲み込まれていくのでした。
物語的には頭とケツが決まっていて、その間に各地を転々としてエピソードを紡いでいく構造なので、もう2つ3つ知らない土地を旅する話があっても良かった気がする。
打ち切りなのかなこれ。もったいない。
物語の核は「ハイブリット」と呼ばれる遺伝子操作されたダリアの一族の物語なんだけど、これがなかなか練られていて面白い。
ヘヴンの存在理由が上手く組み込まれていて、ああ成程と。
風呂敷の畳み方もキレイで良かった。
後半大量に出てくる新キャラ(ほとんど敵)は見せ場が全然無いまま回収されていくのが何とも。
最終巻の巻末に設定集みたいなのが載ってるので、連載続けば動かす可能性があったのかもしれない。
とは言え、このぐらいあっさり締めたのが正解だった気もするんだけど。
青年誌なのでけっこうエグい描写が多く、好き嫌いは分かれるかもしれない。人がやたらと死ぬしね。
しかも酷い方法で。
あと、軽くエロもある。
このショタショタしいホークがアマゾネスの群れに捕まってアレコレと…。
(以前このシーンの画像貼ったらgoogleに怒られた。ショタエロはだめかあ…。)
書きこみ量が多くてちょっとゴチャゴチャした印象はあるんだけど、絵は抜群に上手いですね。狭いスペースに広い空間を描けるってなかなかに技術力が必要とされるもんだと思う。
アクションシーンの効果とか構図とか書き文字とか鳥山明の影響が凄く強い。
ジャンプ作家でもここまで鳥山っぽいのってあんまいない印象。メカデザのセンスも良い。
そういえば、キャラの配置はドラゴンボールGTみたいではある。まあ王道なんだけど。
全3巻とコンパクトなので手にとってみてはどうでしょうか。
表紙のデザインが地味なのが残念だなあ。
ではまた。