オンガク タワゴト

アイドルは荒野を目指す

投稿日:2015年10月11日 更新日:

nagi
10月9日、札幌のローカルアイドル「ミルクス」のメンバー、小林渚のグループからの脱退が急遽告知された。それに伴って14日に行われる定期公演も卒業公演へと変更された。(9日朝の時点では「卒業公演」という題目はなかった。決定事項ではあったはずだが。)



今年の夏は定期公演に加え、数多くのイベントに参加し、TIFの参戦や愛踊祭の優勝など全国区の舞台でも活躍するなど、急成長を遂げた季節であった。
これからが期待されるこの昇り調子の中、突然の脱退発表は本当に衝撃的なものであり、ファンの間でも動揺が広がっている。芸能活動自体を辞めてしまうらしいので本当に14日が最後ということになる。

発表のタイミングや告知からわずか5日で活動を休止する点など不可解な要素は多いのだが、真相はわからないし、今後もわかることは無いだろうと思う。
公式な脱退の理由は学業に専念するというもの。
高校二年生ということを考えれば、納得できなくもない理由ではあるのだが…。

本人の意思を汲んであげるのがファンの鑑だろうから、という風潮はある。でもわだかまりがあることも事実。

いい機会なので常々思っていたアイドルと進路についてちょっと書きたいと思う。
筆者はアイドルオタク歴が浅いので思い込みや偏見によるところが大きいとは思いますが何卒ご理解ください。
ミルクスに関してのことではないです。

アイドルが学業を優先してグループを脱退するということは珍しくない。
大方、中学生ぐらいから活動を始め、高校生の頃に活動のピークを迎えるのが一般的だと思う。
誰が言ってたか覚えてないけれど「二十歳を超えて売れてないと厳しい」なんて言葉があった。誰もが納得できる話だと思う。
アイドルの寿命は短い。高校を卒業することで活動域を広げられるはずなのだが、どうしても旬の過ぎた感があるのは事実だ。より若い新しいグループへと流れるファンも多い。ファン無くしてアイドルは存続できない。


学生ぐらいだとまだ将来というものが漠然とし過ぎていて、二十歳を超えた自分というのは想像出来ないのが一般的だと思う。だからいつまで自分がアイドルを
続けるかなんて答えは出せないまま、一先ず目の前にある目標をクリアしていくことに神経を注げるのではないだろうか。中には意識の高い子もいて、キャリア
を構築するためにアイドルになるという子もいるのかもしれないが、どちらにせよアイドルという活動形態は通過点でしかないことは変わりない。

誰しも25や30になっても今のままアイドルを続けているなんて考えていない。モデルケースが存在しないからだ。
その頃には歌手や女優といった肩書きを得られるようになっていなければ存在することすら難しい。

男性アイドルグループ、ジャニーズのグループのようにメンバーが個々に活動しつつもグループとしての枠を失くしていないという形態が理想的なのかもしれない。
ももクロがそこを目指していると方々で口にしているが、実現が可能なのかはまだ分からない。何にしてもももクロは特殊な存在であり、まだ見ぬ荒野を開拓している途中だが、もちろん全てのファンが付いてくるわけではない。
ももクロのように一部の濃いアイドルオタクを切って一般大衆に迎合するといった方法か、もしくはモーニング娘のようにメンバーを次々と切っていき、グループの箱だけを存続させる方法の二通りしか長生きする術がないのが現実だ。
誰しも与えられた時間は有限であり、それはアイドルもファンも同じである。いつまでも同じところにはいられない。

それでもファンとしてはいつまでも続けてほしいという無責任な願望があるのも確かだ。

さて、大学進学を理由にアイドル活動を休止することの意味だが、大学に進学する=芸能の世界で生きていく気は無いということだと考えられる。
このまま、先の見えない未来に不安を抱えつつ、今のままを続けるのか、ここで決断して普通の人生を歩むのかという選択。
大学なんか行ってどうすんだろってのは、僕らが一般人の目線で彼女たちを観ているから言えることだと思う。

憧れていたアイドルになったけれど、現実は思っていたより良いことばかりでは無かったということもあるだろうし、今後も芸能の世界で生きていくという自身が無いということもあるだろう。
仕事として自分を切り売りすることに嫌気がさしたり、自分の外面的な部分しか観て貰えないことに辟易した子もいるだろう。
恋愛に関しては御法度とされているし、男友達と撮ったプリクラが流出しただけで誹謗中傷の嵐となる。
活動する上で様々な制約があってそれでも続けていきたいものなのだろうか。

そんな疑問を抱えた子の最後の分岐点が大学進学だと思う。

グループで活動している子ならば、脱退は自分一人の問題ではない。そんな重たい決断を10代の子がしなければならないという残酷さ。
私は自分の進路をそんなに真面目に考えたことが無い人間なので、若いのに立派だなという感想しか出てこない有様だ。

アイドルに触れて初めて気付いた一年の長さ。
自分はもういい齢なので昨日と去年の区別なんてつかないのだが、彼女たちは凄いスピードで生きている。それを追いかけようとすれば自ずと時間の感覚が変わってきたように思う。ほんの数カ月でまるで別人のようになってたりする怖さがある。

だから出来ることがあるとすれば、今を楽しむということしか無いのだと思う次第であります。

-オンガク, タワゴト

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