hulu(フールー)は定額制の動画配信サービスであり、本国アメリカではyoutubeに次ぐ第二位の利用率を誇るサービスである。
月額933円(税抜)で登録されている動画が見放題となる。初登録から二週間は無料期間のため、合わないと思ったらすぐに退会することも可能。気軽に始められるのも利点。
元々アメリカのサービスであるため、海外ドラマに強く新作の登録も早いのだが、日本語吹替え版が全ての作品にあるわけではなく、大半は字幕となるためその点は注意が必要。
日本のテレビ局6社が提携しているため、人気のテレビ番組や映画が登録されている。ジャンルはドラマやアニメ、バラエティなど多岐に渡る。アニメのテレビシリーズが全話見れるのが凄く嬉しい。古いのだと「うる星やつら」とか「機動戦士ガンダム」があったり、「新世紀エヴァンゲリオン」や「コードギアス(シリーズ)」、「天元突破グレンラガン」等の有名作を観ることが出来る。もちろん今季の新作も毎週更新されるので、アニメ好きなら契約しても損はしない。
契約料が1,000円と安価であり、レンタルビデオ店へ通っている人ならすぐに元が取れるサービスだと思う。個人的にはディスク入れ替えの手間が無いのと、返却に行かなくていいのが嬉しい。登録動画数は当然ながらレンタルビデオ店には当然劣るが、ちょっと気になる作品がすぐに視聴できる点は大きなメリット。割と頻繁に更新されており、新作の投下も多い。ただいつの間にか観られなくなっているものもあるらしい(未確認)ので注意が必要。
PCはもちろん、大半のゲーム機やスマートフォンでも視聴可能な所が便利。視聴履歴が残るようで、別のデバイスでもすぐに続きを見ることが可能。つまり、途中までPS3で見ていた映画の続きをiphoneで見れたりするのだ。これが意外と便利で私はよく利用している。
秋の夜長に映画三昧という生活もいいかもしれない。
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ということで、今回は筆者がhuluで最近観た作品を適当にレビューしたりします。メジャーなアニメ映画縛りで。
といってもどれも初見では無いのだがね。
いずれ違うジャンルについても書きたい。
時をかける少女
原作小説も実写映画版も未見なので、比較してどうこうということは言えない。ストーリーはは古典SFそのものであり、藤子漫画で育った身としてはベタな話だなとしか思えない。元が古い作品なのであたりまえなことだけど。
後半のどんでん返しから始まる切ない展開は今っぽくて好きかも。SF要素を全部取っ払っても成立する「いつまでも仲良しなだけではいられない」という青春の苦さがテーマとして一本真ん中に入っているし、全体的なデザインも含めてアニメ見ない人にもお勧めできる作品だと思う。大半のアニメフォビアンはSF的なガジェットが出たらチャンネル換えるのが普通らしいので。でも貞本絵のポスター見るとアニメオタク向きっぽい感じなんだよな。
坂のある街や生活感のある家の中などの描写が素晴らしいのでこれだけで見る価値あると個人的には思っている。
未来に還らなければならないチアキが、マコトに告白した部分が何だか腑に落ちない。誰か解説してください。
おおかみこどもの雨と雪
擬人化する狼の時点でファンタジーなのであまり気にならなかったのだが。
この物語は狼と人間の子供である長女ユキの語りによって進行する。ユキが母親であるハナから聞いた話を第三者に伝える形式である。つまりはユキの知らない部分については深く言及されない構造となる。母のハナは早くに夫(狼)を亡くし、人間とも狼ともとれる二人の幼児をかかえ女手一つで育てていく。その生活は作中においても決して楽なものではないが、ハナは愚痴も恨みごとも泣き言も漏らさない。それはハナのメンタルが強靭であるとかそういった事では無く、ハナの弱い部分をユキが語らないからである。見たことが無いのかもしれない。だから作中では描写されない。同じように、ユキの弟であるアメに関するエピソードはユキの知らない部分が多い為にボリュームが少なく、不可解な部分が多いのである。
作中では語られない行間を想像してみるのも面白いかもしれない。それでも田舎の人間描写が漫画的すぎると言えばそうかもしれないが。
物語は淡々と進み、良い話として終わる。結末に一抹の違和感が残るのはハナに感情移入出来ないからだろうか。
穿った見方をすれば、細田守の性癖(誤用)全開具合が清々しいとさえ思う。ある意味ですごくプライベートなフィルムだなと思うわけです。
サマーウォーズ
雰囲気は凄くいいけど何だかよくわからない作品という印象。この人日本の田舎描くの好きだね。
何が良くわからないかというと、どういう視聴者層を狙って作ったのかが一番わからない。宣伝ポスタ―なんかみると凄く一般層にも受け入れられやすそうなデザインをしている。「日本の夏×田舎×戦争」なんて記号から得られるイメージはどこかジブリ的というか、非オタク層ファミリー層を意識しているような印象を持つが、近未来の仮想空間で展開される世界の命運をかけたゲームという内容はかなり対象層が狭まると思われる。
それでいて地方名家の長である婆さんとか天才プログラマとか数学オリンピックとかなんだかチグハグじゃないか。というか誰の物語なんだ。
どちらかといえば外国市場を意識して製作された作品なのかと感じてしまう。違うんだろうけど。
内容をまとめると、妾の子が祖母に認められようとして作り上げたプログラムが世界規模で甚大な被害をもたらしてしまった。それに家族総出で対抗し、家族及び世界中の人々の絆によって世界は守られるという話になる。物語はいいとして、もう少し違った見せ方というか最適解が他にある様な気がしなくもない。嫌いじゃないんだけどね。
アバターという形で小出しされる性癖。
機動警察パトレイバーThe movie
古い作品を観て声優が豪華だなあというのはナンセンスであるのだが、やはり全盛期の名優が数多く出演していると素直に嬉しい。
PCやネットというものが一般に浸透していなかった時代に未来を描いたものだが、セリフ「なんだただのOSか」とか壁の張り紙「不要なファイルは削除」などの文言が今見て違和感無いあたりセンスを感じる。作中のコンピュータが万能すぎなきらい(シミュレーション実装の速さ!)があるが、その分コンピュータウィルスの恐怖と、高性能OSの独占に対する危機感がクローズアップされているとも言える。
公開された1989年時点での「失われゆく東京」の風景を非感傷的なスタンスで描いている。押井監督はいつだかのインタビューで「東京をふっ飛ばしたい」なんて言っていたな。作中で帆場が意図的に松井刑事達に見せたいくつかの風景は、押井の原風景的なものの朽ち果てた姿である。
押井作品の中ではまだ漫画的な「丸み」が残っていて、一番わかりやすくエンタテイメントしてる作品ではないでしょうか。ごちゃごちゃした下町を巨大なロボットが暴れまわる画が好きです。
ゼロハンて言葉は死語になった模様。
機動警察パトレイバー2The movie
初見は子供の頃だったので、何だかよくわからない眠たくなる映画という印象だった。その後内容を理解出来るようになって見返すと随分年齢層の高いアニメだなと。ある程度オタクになってくると、製作者の生い立ちや思想なんかを予備知識として持っているから、そういうロジックで作品のテーマが見えてきたりするんだけども。
戦争を知らないが故に、守るべき平和の実態が掴めないと作中のキャラクタ―に語らせているシーンは、押井の世代コンプレックスがモロに出ているわけだ。
登場シーンの少ない特車二課の面々は前作からの時間の経過によってバラバラになっている模様。なんだか寂しいものです。これも含め、前作が過去の東京を描いた作品であることに対する「現在」から「未来」の東京を描くスタンスの表れなんだろう。
本作では後藤が南雲に対して淡い感情を持っているかのような描写が存在する。そこだけがなんか気がかり。
東京ゴッドファーザーズ
クリスマスの東京を舞台に、ホームレスとして生きる三人による捨て子の親捜しがコミカルかつシニカルに描かれる。
家出少女がホームレスになっておっさんと共生するというファンタジー。若いんだから働けよミユキ。
個々のエピソードが偶然の連続で数珠つなぎのように展開していく様はご都合主義的とも言えるが、世間の狭さ具合や人と人の繋がりを感じさせる演出だと思う。テンポも良い。
今敏作品では一番コメディ色が強く、写実的な世界観の中で漫画的な動きを見せる演出はアニメにしか出来ないことをやっているという自負だろうか。実写映画に限りなく近づくことはアニメである必要性を殺いでしまうわけである。
劇場版アニメのお約束のようにメインキャラを含む一部のキャラクターの声を俳優が当てているが、本作の場合はこれが上手くハマっており、違和感がないどころかこれが最適解だと思わされる。力のある俳優は凄いなあ。
ミユキが美少女じゃなくて良かった。それでもかわいいけど。
茄子 スーツケースの渡り鳥
50分程度の短編。何かと同時公開だったような気がする。茄子というタイトルは黒田硫黄の原作を読めばもう少しその妥当性がわかるようになるのかな?
作画監督が吉田健一とのことだが、ペペがどうみても大塚康雄やテレコムスタッフの描いたルパン三世にしか見えない。ジャケット姿でポケットに手を突っ込んでいるポーズなんてそのまんまだなあ。前回より上達した大泉洋の演技も作画に引っ張られたのかルパンを意識してるような気がする。
ストーリー的には今回はチョッチが主人公然としているのだが、展開としてはそういうわけでもなく何とも中途半端な感じである。
今作の舞台は日本であり美しい背景美術は見所があるのだが、どうにも必然性に乏しい。異文化である仏教とチョッチの心情がどこかで交わるのかなと思ったがそれも無かった。
一番問題があるのは何でみんな日本語で話しているんだろうということ。マネージャーの子はイタリア語がわかるからパオパオの選手たちと会話が出来てるんだろうなと思って観てたのだが、寺の住職や子供と普通に対話しているのでそうでもないらしい。選手たちが日本語を話しているわけではないのは始めの挨拶でわかる。そんなこと気にしてみてる人間はマイノリティなのだろうか・・・。
面白かったのはイタリア人のペペにフェラーリがわからなかった描写。日本と比べ選手の収入が決して高くないイタリアでは、フェラーリなんてリアリティの無いものなんだろうな。「苦しいことしかない」というストイックな選手たちの描き方は華やかな世界の裏にある現実を垣間見えて哀しくもあり美しい。
こんなもんですかね。
いずれ海外ドラマについても書きたいね。