言わずと知れた国民的RPGドラゴンクエストのシリーズ5作目。
ドラクエの企画立ち上げから関わってきたチュンソフトが最後に携わったナンバリングタイトルでもある。
個人的には、このファミコンっぽいドット絵のノリがドラクエって感じがしてて好きです。
元々エニックスという会社は開発部を持たない企画会社なので、製作するのは基本的に外部になるわけです。その外注先がチュンだろうがハートビートだろうが根本の部分は一貫して変わらないはずなんだろうけども、初めてドラクエ6をプレイしたときの強烈な違和感から「やっぱりドラクエはチュンだよなあ」と思ったのでした。
本作はプラットフォームをスーパーファミコンに移しての第1作目にあたるんだけど、基本的にはファミコン版の雰囲気を踏襲している。
ハードのスペックを最大限引き出した、とはお世辞にも言えない旧態依然としたグラフィックは、同時期に発売されたファイナルファンタジー5なんかと比べると見劣りするのも事実なんだけど、これぐらいが自分にはちょうど良い塩梅だと思ってる。
6やリメイク3のグラフィックって確かにキレイなんだけど、なんだか落ち着かない感じがします。色数が多いからだろうか。
自分にとってドラクエは、GUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェースね)の概念のあるテキストゲームという捉え方をしているので、グラフィックは記号的な簡素なものでいいんだけどな。
そんなこと言ってる奴はマイノリティなのでしょう。
ドラクエ5は何周プレイしたかわからない。
なんで同じゲームを何度もプレイできたんだろう昔の自分。
しかも繰り返しのプレイなのに内容が毎回同じという、今考えると何の面白味のない遊び方をしていた。
ベビーパンサーの名前は毎回プックルだし。
嫁はビアンカだし。
パーティはいつも主人公、ピエール(スライムナイト)、プックル →主人公、勇者、ピエールだし。
最終レベルは大体40だし。
低レベルプレイとかモンスター縛りとかそういった高度な遊びを思いつけるほど頭が柔らかくなかった。
セオリー通り、マニュアル通りのプレイばかり。
それでも楽しかったんだからドラクエはえらいと思う。
今思うと、地道にレベル上げて、絶対にクリアできる状態でクリアしても面白くないような気がするんだけれど。
一方で当時遊んでいた友人は、ゲーム序盤の主人公が子どもの状態のままレベルを上げ続けていくと途中でレベルが下がる(戻る)ことを発見したり、
死体バグ(死んだ仲間モンスターを預けて色々するやつ)を見つけてデータをおかしくしたり、
ポートセルミの猫にはさまれてリセットしたりと
奔放に遊んでいた。
こういう人間の方が大成するんだよなって今では思います。
天空の・・・花嫁?
子供心に「天空の花嫁」ってすごく抵抗のあるサブタイトルだと思うんだけどどうですかね。
僕が常にビアンカを選んでいたのは、その方が正しいストーリーのような気がしていたから。
フローラ「も」選べるシステムっていうだけで、物語の流れを考えたら、ぽっと出の金持ちお嬢様ではなく、幼なじみが大正義だと信じて疑わなかったのです。
ビアンカも言うほど幼なじみってないんだけどな。
それでも友達の中にはフローラを選んだやつもいた。
理由を聞くと「フローラの方が強い」からだそうだ。
「フローラの方が女の子として可愛いから」なんて絶対言わない。言えない。
それが男の子の世界である。
「お前、チュンリー使うの?エロいな!」的なやつである。
あの頃の僕らは、これから否が応にも迎える来るべき思春期という得体の知れない恐怖に呑み込まれまいと全力で抵抗していたのだと思う。
そこには同調圧力が確かに存在していて「裏切るなよ」という無言のプレッシャーに僕らは屈していたのでした。(被害妄想)
グゴゴゴゴ・・・・・・
当時全国的に流布されていたらしい噂の一つに、「エスタークを10ターン以内に倒すと仲間になる」というのがあった。
エスターク(裏ボス)は倒すのに費やしたターン数が表示されるので、何となくそんな気がした子供が全国に沢山いたんでしょう。
僕のクラスでもやたらと騒いでる奴がいて、そいつ自身は達成したわけではないが、兄貴の友達がエスタークを仲間にしたと主張するのだ。
変に信憑性があったのは、本当は10ターン以内ではなく5ターン以内じゃなければならないという点が、これまでに聞いた話と少し違っていたからだ。
8だか7ターンで倒したやつがいて、10ターンで仲間になる説は砕け散ったのだけれど
「こんなに簡単なはずがない」
「倒しても何も起きない」
という違和感からか、そんな嘘くさい話にも耳をかたむけるようになってた。
「ウソついてんじゃねーよ」とは安易に言えない。
彼を嘘つき扱いするにはエスタークを5ターン以内に倒さなければならない。
ということで、僕らは彼の虚言癖を暴くことを大義としつつも、もしかしたら・・・という一抹の淡い期待を胸に何度も何度も地獄の帝王をしばき倒した。
5ターン以内の壁は厚く、結局達成することは適わなかった。
その頃にはクラスのみんなの関心は、FF5の海底モアイ像とオメガの勲章の謎へと移り変わっていた。
後年、ネットで知った「ひとしこのみ」(特定のアイテムだけを順番に所持すると毎ターン会心の一撃&モンスターが100%仲間になる裏技)でエスタークを5ターン以内で倒したけど、やっぱり仲間にはなりませんでした。
「ウソついてんじゃねーよ」って今なら言える。
でも「ひとしこのみで倒してもダメなんだって!普通にやらないと!」って言うだろうな当時の彼なら。
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