俺は20世紀生まれ、J-pop育ち。売れそな曲は大体聴いてる。売れそな曲は大体同じ。
今回は西暦2000年ごろに僕らのまわりで流れていた懐かしの邦楽ヒット曲を掘り起こしてセンチメンタルな気分に浸ろうという企画。20世紀ノスタルジア。回顧主義万々歳。
僕らが生まれ育った20世紀の、最後の最後の年。色々不安はあったけれど、結局なんにも起こらずにまったりと終わりのない日常が繰り返されて、気付けば夢の2001年がもうすぐ目の前に。でもやっぱり何も変わらないんだよなあ、なんて思っていたあの日はつい先日のことのようでいて、実はあれから20年近い歳月が過ぎていたのでした。
90年代中盤に起ったCDバブルは既に過去のものになりつつあって、音楽番組もかつての勢いに陰りを見せ始めていたという、音楽産業のどん詰まりが見えてきたこの時代。それでも今と比べればまだまだみんな同じようなものを聴いていたし、世代で共有できる思い出としてのヒット曲は存在していたのでした。
西暦2000年頃に発売された楽曲の中から、個人的に懐かしいなあと思うものを20曲選んでみました。
ど真ん中をちょっと外した感じの選曲になってればいいな。
僕は1982年生まれなので、2000年当時は17~18歳だったわけです。つい昨日のようだけれど。
ということでクソ長い前口上は終わりだ。
いつも通り1曲30秒だけ聴けます。
19 「果てのない道」
19の4thシングルにして完全な二人体制になった最初の曲。要は326が抜けたわけです。事務所側の意向によって。
新しい人生を歩み始める上京がテーマの曲。19と326と別の道を歩み始めたことは関係あるのかな。だけど新生活がすっかり始まった4月の中頃に発売した記憶。
なんかもうフォークっぽくねえな。ブルースハープが無いからか。
JUDY AND MARY 「Brand New Wave Upper Ground」
活動再開後の第一弾シングルであり、この曲の発表後にJAMの解散が決定的になったとのこと。
充電的な意味合いで活動休止するとその後あまり良い方向にむかないのだなとJAMとLUNA SEAを見てて思ったね。個人的はミスチルもだけど。
当時はこの曲スルーしてた気がする。でも聴き返すと歌えたりするので気付かないうちに血肉になっているのだ。
相変わらずTAKUYAのギターはイカれてて良いです。
L’Arc~en~Ciel 「STAY AWAY」
98年から99年のラルクはシングル3枚同時とかアルバム2枚同時発売なんてやってて、話題性もあったし楽曲的にも非常に充実してた時期だったなあと。そしてこの翌年には活動休止に入ってしまうわけです。
この曲ぐらいがピークアウトに思えてしまう。これ以降を知らないからだけど。
個人的にラルクっぽいのっていうとflowerとかfourth avenueとかああいう感じなんだけどもね。とかいうファンがいるからtetsuが「bravery」で恨みごと書いたりすんだよ。
LUNA SEA 「TONIGHT」
この頃のシングル曲で3分ってのはなかなか珍しい。すんごいシンプルでドがつくほどキャッチー。脱ビジュアル系な雰囲気が何とも当時の空気。
本作をリード曲に据えたアルバムを以て充電期間ではない活動休止に入ってしまうのでした。
20世紀の終わりに向かって生き急ぐバンド多すぎだな。一つの時代が終わる感ハンパなかった当時。
GLAY 「とまどい」
そんな中でGLAYは96年のブレイク以降安定の好調さで、99年には20万人ライブとかやってたようです。実際には解散寸前まで話が進んでたっぽいですが。当時僕はすでに離れていたのであんまり知らない。それでも曲聴くとやっぱりちゃんと知ってるんだよね。不思議なものです。
初っ端サビから入るキャッチーな構成がインパクト大。夏っぽいアッパーで清涼感のあるメロと夜明け前のまどろみを感じさせるメロの緩急がいい感じ。
とまどい
GLAY
2000/08/23 ¥250
THE HIGH-LOWS 「青春」
この頃の僕は、リアルタイムのハイロウズはスルーしてブルーハーツにドハマリしてました。そんな中でこういった、割とテンプレートでありながらもナードな僕らにはあまり縁のない青春の輝きを前面に押し出した眩しくも恨めしい世界というのを提示されても困惑するだけだったわけだ。ブルーハーツを病的に信心してた層って暗い青春過ごしてた側の人間だよなあなんて思いながら聴いてたね。
まあ学園モノドラマのタイアップだし。というか真島って元からあっち側だわな。
今となってはそういう気持ちもすっかりどこかに落としてきたみたいで、心がざらつくことは、もうない。
青春
ザ・ハイロウズ
2001/01/12 ¥250
SADS 「忘却の空」
SADS最大のヒット曲。池袋ウエストゲートパークの主題歌で有名。らしい。観てませんでしたけど。
カラオケで歌うと一発でノドが潰れることでお馴染み。俺の中では。
黒夢の活動休止を経て以前から強い憧れのあったバンドとしての活動を始めたわけなんだけれど、結局清春のワンマンバンドになって失意の中で空中分解してしまう。当時のインタビュー記事を幾つか読むと清春にバンドは無理だなって思ったものです。
ちなみにこの時期のベースは現クロマニヨンズの小林勝です。
忘却の空
SADS
2003/07/14 ¥250
aiko 「ボーイフレンド」
aikoはいい。いい塩梅でエロい(笑)。何か生々しい存在であった。たぶんちょい○○だからだな。
そんでポップなのにどことなく毒がある様なない様な感じが訴求力になっていたのではないかと。
本作はブラスなアレンジですけど、余計が音が無いというか楽器の主張が最小限で良い。
テトラポットって言葉を見るたびに思い出す程度には刷り込まれている模様。
椎名林檎 「ギブス」
自我が延々と肥大し続けていく様なある種の危うさを常にチラ見せしつつも、どこか優等生な雰囲気が漂っていたこの時期の椎名林檎嬢。下品にならない程度のエロスとか、やり過ぎ感のあるエンジニア的なサウンドはギラギラと刺激的で、わかりやすく世紀末を体現していた様な気がする。
当時なんとなく椎名林檎とaikoって対照的だなあって思ってましたね。同期だし。
この人も色々あって翌年休業します。ギブスって何だよ。
ギブス
椎名林檎
2006/02/01 ¥250
Cocco 「水鏡」
そんなに熱心に聴いてたわけではないんだけれど、耳にすると、ああ、あの頃、って感じがする。音と雰囲気は凄く好みで、耳触りがいいんだけど、歌詞が全然頭に入ってこないのは何でだろう。抽象的すぎるからなのか。Coccoって歌詞追ってるとどきりとする瞬間が常にあるように思っていたんだけどもね。
わかる人にはわかる系なのかもしれない。
そしてこの人も翌年に一旦音楽活動を辞めてしまいます。理由は歌が好きになったからだそうです。
水鏡
Cocco
2007/07/25 ¥250
ポルノグラフィティ 「サウダージ」
「アポロ」の一発屋だろどうせって思ってましたね。俺には見る目が無い。
タイトルの通り、ラテンっぽいアレンジが当時ちょっと珍しかったものです。
このギチギチに詰め込んだ譜割りは歌うと妙に達成感があるみたいでカラオケでよく聴いたな。
サウダージ
ポルノグラフィティ
2013/11/20 ¥250
SNAIL RAMP 「B.M.W」
ここで変化球。「ハダカになって」←言ってない。
チャートの上の方だけ目で追ってると見えてこないんだけど、この頃(98年ごろ~)メロコア、スカコア勢がすげえ元気だったみたい。みんなディッキーズ履いてさ。AIR JAM世代ってやつ。
当時の個人的な感覚だとハイスタやモンパチが一部で騒がれたてなあって程度の認識なんだけどもね。ネットのない時代、札幌みたいな地方都市にはなかなか情報が入ってこなかったんだよね。音楽雑誌に載っててもテレビで流れないと誰も知らないみたいな。これが都会と田舎の温度差だと思うのです。
単に僕のアンテナが低かっただけなのかもしれない。
B・M・W
SNAIL RAMP
2000/01/19 ¥250
矢井田瞳 「my sweet darlin’」
19歳で初めてギターに触れて大学四年の夏に本作でブレイクを果たすってキャリアだけ見ると何だか凄い人だな。
サビのフレーズがドキャッチーで頭をついて離れない。
当時、椎名林檎フォロワー的な見方を一部でされてたように思う。どちらかというとディスな意味でね。今聴くと全然そんな気がしないんだけどね。
hitomi 「LOVE2000」
え、hitomiってあのキャンディガールの??って思った当時。小室プロデュースが外れて露出が減った時期があるので、この頃は復活したような感じがありました。
以前とはうって変わって疾走感のあるバンドサウンドが心地よいです。
本作や「SAMURAI DRIVE」あたりが全盛期になる模様。
ちなみにタイトルの読み方は「ラブニセン」です。
サザンオールスターズ 「HOTEL PACIFIC」
2000年のサザンっていったらまあTSUNAMIなんだろうけども、あんまり好きじゃないし、こっちの方が印象強いので。MIXテープにバラード入れるとなんか下がるのでね。
こういう何のメッセージもないアゲ曲が大好きさ。勝手にシンドバッド的な感じね。
どうしてもこれ聴くと当時熱心に受信してた深夜ラジオ「爆笑問題カーボーイ」を思い出します。アップスでもジャンクでもない時期の。
この曲ってアルバム未収録だし、最後に出たオールタイムベストは98年だし、直後に出たバラードベストには入らないしで、今聴こうと思ったら配信で単品買いするぐらいしか方法がない模様。
エレファントカシマシ 「ガストロンジャー」
大衆に迎合する形でセールスの上がったポニーキャニオン時代に別れを告げて、本来のスタイルを取り戻したように見える本作。エレカシ史上一番迷走してた時期。
何だかわからないけれどとにかく怒りに満ちていた当時の心情がパッケージされております。
ほとんど歌わずにガーガー喚いとりますけども、宮本流のラップ的なモンだそうです。
歌詞の問題からNHKでは放送自粛だったりする。そんな大したこと言ってないんだけどね。
BLANKEY JET CITY 「SATURDAY NIGHT」
ブランキーのラストシングル。ラストが土曜の夜っていう終わらない狂騒を感じさせるのが何だか作為的かなと。
深夜の街を、美しいものもくだらないものも全てが後ろにすっ飛んで行ってしまうほどのスピードで疾走する姿に、行き場のない苛立ちや破滅願望や快楽主義が見える。
いわゆる暴走族的なシーンなんだけど、ベンジーが歌うと全然日本の景色には聴こえないのが良いです。イギリスのモッズともまた違う独特の世界観がある。
THEE MICHELLE GUN ELEPHANT 「GT400」
キャリアの中でそこまで重要な曲だとは思わないけれど、この曲の持つ土埃を匂わせるアメリカンな雰囲気は、TMGEが初期にまとっていたブリティッシュな佇まいがすっかりとそぎ落とされてしまったことの、ある種の証明足り得るのではあるまいか。なんてね。
描かれているのは明らかに日本の風景ではないんだろうけれど、400ccというのがなんだか可愛いです。
ポールウェラーの話はしません。
GT400
THEE MICHELLE GUN ELEPHANT
2000/02/02 ¥250
くるり 「ばらの花」
「東京」にあったようなモラトリアム感は既に過去のものになっている。もうあの頃の様に無意識に思いっきり泣いたり笑ったりすることもないのかな。
「ワンダーフォーゲル」からのサウンド面での変化も相まって、ほんの少し昔のことが遠くに見える。そしてそれが少年期の終わりと重なる様な気がするのは感傷的すぎる見方なのかな。
ばらの花
くるり
2005/12/21 ¥250
ゆず 「嗚呼、青春の日々」
当時はさぁ、なんだよこのくっせえ歌詞、大人ぶってんじゃねえよ。って思ってたんだけどね。
今、20年近く間をあけて聴くと、結構こたえるものがあるんだ。ああ、嫌だなあ。
年とるとストレートなものに弱くなる。
あの頃の僕らが軽蔑した恥ずかしい大人になったんだね。砂の果実。
はい、以上20曲でした。
どうですかね。懐かしい感じしましたかね。ヒット曲集と言いつつ結構偏った選曲でしょうかね。
今でも現役続けてる人が結構いるので、そこまで古臭い感じはしないんだろうけれど、やっぱり楽曲を耳にすると何とも言えない当時の空気感みたいなのが鼻腔をかすめたりします。
2000年 オリコン年間シングルTOP20
オリコンの年間ランキングだとこんな感じになります。
順位 | タイトル | アーティスト | 売上枚数 |
1 | TSUNAMI | サザンオールスターズ | 288万 |
2 | 桜坂 | 福山雅治 | 228万 |
3 | Wait&See~リスク | 宇多田ヒカル | 166万 |
4 | Love,Day After Tomorrow | 倉木麻衣 | 138万 |
5 | SEASONS | 浜崎あゆみ | 136万 |
6 | らいおんハート | SMAP | 128万 |
7 | 恋のダンスサイト | モーニング娘。 | 122万 |
8 | 今宵月の見える丘に | B’z | 112万 |
9 | ちょこっとLOVE | プッチモニ | 112万 |
10 | NEO UNIVERSE / finale | L’Arc~en~Ciel | 110万 |
11 | 孫 | 大泉逸郎 | 106万 |
12 | 慎吾ママのおはロック | 慎吾ママ | 105万 |
13 | とまどい / SPECIAL THANKS | GLAY | 100万 |
14 | Everything | MISIA | 100万 |
15 | ハッピーサマーウェディング | モーニング娘。 | 97万 |
16 | Secret of my heart | 倉木麻衣 | 96万 |
17 | Stay by my side | 倉木麻衣 | 92万 |
18 | For You / タイムリミット | 宇多田ヒカル | 88万 |
19 | 夏の王様 | Kinki Kids | 87万 |
20 | HOTEL PACIFIC | サザンオールスターズ | 82万 |
あんまり被ってないかな。
浜崎あゆみとか倉木麻衣とかよく知らない。
「孫」ってあったね。今思い出したわ。
孫
大泉逸郎
2015/09/16 ¥250
CDバブルが弾けた後とはいっても、まだまだ100万枚は当たり前の時代。
ここから徐々に売り上げが減少していって、CCCD(コピーコントロールCD)やmp3プレイヤーが普及したあたりで一つの時代が終わるのでした。
次は1999年編。→【90年代】懐かしの邦楽ヒット曲 1999年編【懐メロJ-POP】
ではまた。
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