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未完の名作?俺より強い奴に会いに行く!【ハイスコアガール】

投稿日:2015年6月6日 更新日:

ハイスコアガール 押切蓮介
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月刊ビッグガンガン連載
既刊5巻

 

 

 

 

 

 

 

 不名誉にも、大人の事情により連載が中断し、アニメ化の話も立ち消えてしまった不運な作品として有名になってしまった。
しかし、そんなことはどうでもいいのだ。純粋に漫画として面白いのだから。ついに僕らの世代が語られる番が来たのだと本作を読んで感じた。90年代は語られるほどの過去になったのだなと。近いようで遠い20年前。クソガキだった僕らはどうなりましたか?

 これといって何の取り得も無く、学校内で肩身の狭い思いをしている少年、矢口ハルオ。彼が唯一誇れるものはテレビゲームであった。
ハルオは「盛り場に行ってはいけない」という学校による教育的指導の目をかいくぐり、隣町のゲームセンター「マルミヤ」へ通う日々を過ごしていた。ゲームセンターでのハルオは周りから一目置かれるほどのプレイヤーであり、特に当時人気を博していた「ストリートファイターⅡ」に関しては稼働初期からやり込み続けていたこともあって、腕に相当な自信を持っていた。

ある日「マルミヤ」のストⅡ対戦台にて驚異的な強さを誇るプレイヤーが現れ、ハルオは果敢に挑戦するも7連敗を喫してしまう。27連勝を成し遂げる相手の正体が気になり、筺体越しにその顔を確認すると、同じクラスの女子、大野晶(あきら)であった。
ハルオは自分の正反対ともいえる、成績優秀で人望もあり裕福な生まれである大野に対し敵対心を覚える。それは自分の世界を土足で踏み荒らされたイラ立ちと、ゲームの腕で負けたことによる悔しさによるものであった。

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しかし、ゲームという共通の関心事から少しづつ距離を縮めていく二人。
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ファイナルファイトの協力プレイでハルオのプレイングに怒る大野。

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伝説の10円ゲーセンを求めて自転車で走る二人。

ハルオにとって忌わしき存在であった大野晶は、やがて認めざるを得ないゲームプレイヤーとなり、その心意気に共感する者となり、そして初めて出来た同志となった。

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ハルオにとってその存在が大きくなりつつある中で、唐突にも彼女が転校することを知らされる。自分自身でも意外なほどにショックを受けていることに戸惑うハルオだったが、ことの大事さを上手く受け止められずあっさりとした態度で大野に別れを告げる。

その帰り道に立ち寄ったゲームセンターにて自分の本心と向き合ったハルオは、自身の中で急速に湧き立つ溢れ出しそうな想いと伝えたい言葉を胸に、大野が発つ空港へと全速力で走りだすのであった。

 

 


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多くのゲームキャラクターに背中を押され、少しずつ確実に自分の大野への想いを明確にしていくハルオ。そして少年は走り出す。

 

 

 

以上がハイスコアガール1巻のあらすじである。ラストのハルオが走り出すシーンの演出は胸が熱くなる。この後2巻以降は中学編、高校編と続いてゆくのだが、実はこの小学生編をまとめた第1巻のみでもキレイに完結しているのだ。
かといってこれ以降が蛇足なわけではない。ハルオ少年の真っ当な成長ぶりは一読者として涙を禁じえない(大袈裟)ものだし、ハルオ、大野と三角関係を結ぶ一端である日高小春は個人的に滅茶苦茶可愛いし、脇を固めるサブキャラもなんだか懐かしさを感じさせるし、ゲームの方は格ゲー黄金時代を迎えるしで以降もどんどん漫画としてのテンションは上がっていくのだが、冒頭でも触れた様に、現在は連載が凍結している状態である。5巻以降が読める可能性は著しく低い。
だったら1巻完結の作品として見ればいいのでは・・・?と思ったがやっぱり先を読みたいので出版社には何とかしやがれとしかいうことが無いわけである。

 

さて、この作品は作者の押切蓮介氏の実体験がベースとなっている部分が多々ある。押切氏の自伝漫画「ピコピコ少年」シリーズ及び「猫背を伸ばして」と読み比べると面白い。実体験部分はゲームに関するものだけであるからだ(泣)。かわいい女の子など出てこないのである。ちなみに作者(押切)≠ハルオを強調するように、作中のゲーセンには作者を模したモブ(神ちゃん)が出ている。

ハルオ少年は小学生時代はどこにでもいそうなクソガキだったのだ
が、高校受験を境に落ち着きを手に入れてしまい、なんだかギャルゲーの主人公の様なキャラになってしまう。こいつには性欲があるように思えないのである。
あんなにたわわな太股少女が自分の部屋に来たり、両想いっぽい子と(ビジネス)ホテルで夜を明かしたりするのだが、イベントは起こらないのであった。だか
ら安心して読めるわけなんだけども。人生経験の乏しさゆえに何も出来ないのではなく、そういったやましい感情が湧きおこらない健全過ぎる不健全なハルオの
着地点というのを見てみたかったものだ。
そしてそれは叶わないのであった。「自分が死ぬまでには完結させてください」と懇願した高齢の「ガラスの仮面ファン」の心境が今ならよくわかる。
何らかの形で続きが読める日は来ないのかと宛ても無く待ち続ける日々です。



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